現在、自動車にはますます多くの電子機器が搭載されるようになっています。これらのデバイスは、車載ネットワーク (IVN) を介して通信する必要があります。共振器は、通信プロセスにおいて周波数制御機能を提供し、システムの安定した動作を保証します。この記事では、自動車分野における共振器の応用と、村田製作所が紹介する水晶共振器とセラミック共振器について紹介します。
共振器は自動車用途で広く使用されている
共振器は共振周波数を生成する電子部品です。一般的に使用される共振器は、主に水晶共振器とセラミック共振器に分けられます。共振器は周波数を生成し、安定性と優れた耐干渉性能の特性を備えています。さまざまな電子製品に広く使用されています。水晶振動子の周波数精度はセラミック振動子よりも高いですが、コストもセラミック振動子よりも高くなります。共振器は主に周波数制御の役割を果たします。すべての電子製品には周波数の送受信のための共振器が必要であり、共振器は電子回路の基準クロックや信号源として使用できます。
水晶は、水晶材料の圧電特性を利用して、正確な周波数信号をIC (マイクロコントローラ) に送信します。水晶ブランクの両側にあるスパッタリング堆積電極に電界を印加すると、圧電材料としての水晶が振動します。
セラミック共振器は、機械的共振器として主にチタン酸ジルコン酸鉛 (PZT) で構成される非常に安定した圧電セラミックを使用します。電圧を加えると圧電効果により変形が起こり、特定の周波数で共振が起こります。共振周波数は、振動モードとセラミック基板のサイズ(長さと厚さ)によって決まります。
自動車用途では、カメラアーキテクチャやレーダーアーキテクチャを備えた先進運転支援システム(ADAS)、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)、リモートキーレスエントリ(RKE)、イーサネット、ワイヤレス充電器、NFC(キー)、汎用またはデジタル計器クラスター、駐車支援システム、サラウンドビューカメラシステム、ドライビングレコーダー、バッテリー管理システム、電気自動車/ハイブリッド自動車用モーターコントローラーなど、さまざまな用途で共振器製品が使用されています。
特別な構造設計は優れた特性を持っています
自動車用途では、電子部品は高温、低温、振動、騒音などの複雑な環境にさらされる必要があります。そのため、共振器に対する品質要件は特に高くなります。村田製作所は、セラミック発振子(セラロック)を継続的に市場に供給してきました。®当社は、40年以上にわたりマイクロコンピュータ等の基準クロックとして半導体製品(以下「半導体製品」)を提供してきました。セラミック振動子の周波数精度が対応できない、より高精度なクロックを搭載した機器の需要に応えるため、東京電波株式会社と共同で信頼性の高い小型水晶振動子を開発し、2009年から民生市場へ、2013年からは車載市場へも製品を供給しています。
村田製作所の水晶振動子は、既存の水晶振動子にはない独自のパッケージ技術を採用しており、優れた品質、量産性、高コストパフォーマンスを特徴としています。村田製作所の水晶振動子は、キャビティセラミックパッケージを採用した一般的な水晶振動子に対し、平面アルミナ基板と金属キャップを組み合わせた構造を採用しており、セラミック振動子で長年の市場実績があります。汎用性の高い平面アルミナ基板と金属キャップを採用することで、従来の水晶振動子に比べて材料コストを削減できるとともに、供給安定性と生産量増加への対応力が向上します。
村田製作所は、水晶原石の生産・設計からオリジナル機器の製造、そして世界的な販売網までワンストップ体制を整えています。そのため、独自の製造プロセスを持ち、新しい分野を開拓して顧客に新たな価値を提供することができます。
車載用水晶振動子は車載信頼性要件を満たす
村田製作所の車載用水晶振動子(XRCHAシリーズ、XRCGBシリーズ、XRCGEシリーズ)は、村田製作所独自のパッケージ技術により、品質、量産性、コストパフォーマンスに優れ、次世代の車載通信規格である車載Ethernet/FlexRayにも対応可能です。車載Ethernet/FlexRayとして使用する場合、総合精度は50ppmに達し、負荷容量(Cs)は6pF、8pF、10pFなどに対応できます。 ±
村田製作所の車載用水晶振動子は、車載用途に求められる信頼性保証(AEC-Q200)に適合しています。最高 +125℃までの高温に1000時間さらされ、-55℃ から +125℃までの1000温度サイクル、最高 +85℃ 、湿度85%、DC6Vで1000時間のバイアス湿度負荷、最高 +125℃、DC6Vで1000時間の高温暴露が可能です。
村田製作所の車載用水晶振動子は、ECUの小型化に適した2.5×2.0mm/2.0×1.6mmの小型・高信頼性パッケージを採用し、3.2×2.5mmサイズに比べ最大60%の小型化を実現しています。セラロックは高信頼性パッケージを採用しており、耐衝撃性、耐落下衝撃性、耐候性などの機械的特性に優れています。ムラタ独自のパーティクルスクリーニング技術により、振動抑制パーティクルを漏れなく除去し、水晶振動子の特性劣化の原因となるパーティクル付着不良品を生産段階で正確に判別できるほか、はんだフィレットの視認性を向上できるコンパクトサイズの角電極形状を採用するなど、自動光学検査(AOI)に適した形状設計を実現しています。
型番
村田製作所の小型車載用水晶振動子(2.0x1.6x0.7mm)には、XRCGB_F_A、XRCGE_F_A、XRCGB_F_C、XRCGB_F_G(インフォテインメント用)シリーズがあります。
車載用セラミック共振器の高速発振起動時間
村田製作所の車載用セラミック共振子「セラロック」(XRCHAシリーズ、XRCGBシリーズ)は、車載用途に幅広く採用されています。これらの自動車製品は世界中のお客様にご利用いただいており、村田製作所が長年培ってきた設計・製造技術に根ざしています。CERALOCKセラミック共振器は設計の簡素化に役立ち、コンパクトで薄型、容量内蔵の製品設計を実現し、部品点数を削減します。CAN通信の周波数精度に適しています。LS-CANの総周波数許容誤差は ±0.8% (総周波数許容誤差は製品シリーズによって異なります)、HS-CANの総周波数許容誤差は ±0.27% です。
村田製作所の車載用セラミック振動子「セラロック」は発振起動時間が速いのが特徴です。発振起動時間とは、ICが起動したときに発振過渡状態から定常領域に移行するのに要する時間を指します。村田製作所では、定常状態において、発振レベルの最大90% までの起動時間を要求しています。発振起動時間は発振回路に使用されている部品によって影響を受けます。水晶振動子と比較すると、セラロックの発振起動時間は10倍以上高速になります。
CERALOCKセラミック共振子は、パワートレインシステム/シャーシに適した信頼性と「走る・曲がる・止まる」などの機能環境を満たすために、-55℃ から+125℃ までの温度サイクル、+85℃、湿度85%、DC6V 1000時間のバイアス湿度負荷、+125℃、DC6V 1000時間の高温曝露に耐えることができます。
ムラタでは、多様な仕様要求に応えるため、各種シリーズの周波数範囲内でお客様のご要望に合わせた各種周波数の製品を取り揃えており、さらに150℃対応品をラインナップに加えました。 CSTCR_G_B(周波数4.00〜7.99MHz)、CSTNE_G_A(周波数8.00〜13.99MHz)、CSTNE_V_C(周波数14.00〜20.00MHz)は、周波数許容差 ±0の一般的な車載用途向けに導入されています。5%.車載ネットワーク用途(高精度部品)向けに、周波数許容誤差 ± 0.07%のCSTNR_GH5C(周波数4.00〜7.99MHz)、CSTNE_GH5C(周波数8.00〜13.99MHz)、CSTNE_VH3C(周波数14.00〜20.00MHz)を導入しました。
結論
共振器はさまざまな電子製品に広く使用されています。自動車用途の過酷な環境において、高品質の共振器は製品の安定性に重要な影響を及ぼします。村田製作所は数十年にわたる共振器製造の経験と特許技術を有しており、車載用途の厳しい要件を満たすことができ、関連製品開発者にとって最良の選択肢およびパートナーとなります。