TDK株式会社は、新しい高性能シリーズMLJ1608を追加し、積層パワーインダクタのポートフォリオを拡大しました。MLJ1608シリーズは、信号線用の既存の多層パワーインダクタMLF1608シリーズを補完するものであり、特にスマートフォン、タブレット、NFCモジュールなどの近距離無線通信 (NFC) および電力線アプリケーションでの使用向けに設計されています。新しい多層パワーインダクタは、13.56 MHzで最大30の高いQ値、わずか ±5パーセントの狭いインダクタンス許容値、および優れた磁気シールド特性を特徴としています。したがって、NFCアプリケーションで使用されるコイルのすべての要件を満たし、NFC制御チップとアンテナ間のLCフィルタリング回路に特に適しています。
高性能積層パワーインダクタ
現在のラインナップは、160 nHから560 nHまでのインダクタンス値をカバーしています。定格電流が550 mA ~ 750 mAと高いため、通信回路がアクティブなときに発生する100 mA ~ 300 mAのAC信号電流を処理する場合でも動作の安定性が確保されます。MLJ1608シリーズのコンパクトなIEC 1608パッケージ(EIA 0603)は、フットプリントが1.6mm×0.8mm、挿入高さが0.8mmの薄型設計です。MLJ1608シリーズの量産は今年4月から開始されています。
MLJ1608シリーズは、TDKが新たに開発した低損失フェライト材料を採用しており、同様のサイズの巻線コイルよりもAC信号で低い損失値を実現できます。フェライト材料の重ね合わせ性能も向上し、NFC回路に流れる300mAのピーク電流レベルにおいて、従来の巻線コイルと同等の特性を実現しました。
IEC 1005 (EIA 0402) パッケージの追加のMLJ1005シリーズが現在開発中であり、低電力NFCモジュールや非常に小さな寸法を必要とするアプリケーションに適した製品が追加される予定です。
用語集
- NFC: 近距離無線通信は、スマートフォンやその他のデバイスが通常10 cm以下の非常に短い距離で通信できるようにする無線規格です。
主な用途
- スマートフォン、タブレット、NFCモジュール、一般的な電子機器におけるNFCアプリケーション
主な特徴と利点
- 13.56 MHzで最大30の高Q
- わずか ±5%の狭いインダクタンス許容範囲
- フェライト素材により、同サイズの巻線コイルよりも損失を低減
- 巻きコイルと同等の重ね合わせ特性